2021
AW Collection
Autumn - Winter
Drawing
ドローイング
第二形態
1348年
ペストのパンデミック。
そのあと、ルネサンス(生の賛歌)が誕生しました。
1918年
スペイン風邪のパンデミック。
そのあと、
ダダイスム(既成の秩序や常識に対する、否定、攻撃、破壊)
シュールレアリスム(無意識の表面化、無意識と理性との一致)
アブストラクトアート(抽象芸術)が誕生しました。
当時の表現者たちは、パンデミックのあとに、新しい表現を創造しました。
2020年
新型コロナウィルスの、インフォデミック。
全世界は、情報の毒に満たされました。
インフォデミックという「作られた破壊」の危機に、わたしたちは直面しています。
最高潮に達した同調圧力も、静かに前を見つめながら、穏やかに切り抜ける手段があります。
想像力です。
わたしは今、未だ手付かずのまっさらな何かが見えています。
未知で無垢な、まだ誰も触れたことがないものです。
そこに、わたしだけに見える線(ライン)を描き出します。
想像力という完全な自由の中で、自分だけが描ける線を形にし、服といういのちを生み出します。
必要なのは、世界をひそやかに繊細に見つめること。集中力を長く保ち、仕事を継続していくこと。
いつもそこにある街路樹のような佇まいで、強い風に吹かれるほどさんざめく梢のように、静かに手を動かし続けて、自分だけの線を服という形にしていきます。
例えば布は、糸という線を、無数の工程を経て織り上げます。
わたしが思い描いた線を形にするために、布を裁断して縫い上げます。
全ての過程に、繊細さと長い集中力が必要なのです。
服を作ることは、誰かのいのちをくるむこと。
これは、女性的な力、強さです。
平成の30年間はグローバリゼーションの広がりで多くの人が、強い人や大きい物へ憧れた時代。
しかし今、世界に分断が横たわっています。
かさねて日本には毎年のように未曾有の災害があります。
地震や水害は、その土地に根付いていた文化や歴史、芸術を根こそぎ破壊してしまう。
それでも、わたしは想像力と繊細さと長い集中力で、新しい線を、この世界に形にしてみせる。
何度でも繰り返し、作り続けて行く。
長い仕事になるでしょう。密やかな歩みになるでしょう。
貴女が手に取る服は、世界で唯一の体に召された、唯一の服になります。
わたしが思い描いた線を形にした服と、貴女が服を着たときに思い描く線が交わるとき、新しく完全に描き換わった、たったひとつのドローイングが完成します。
このドローイングは、これからの世界を生き抜いていく、わたしたちの戦闘服なのです。
ACT.10 ドローイング
12. 4
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